空き室対策は現場で考える
空き室対策は、賃貸物件オーナーにとっては終始付いて回る課題だ。斎藤さんは徹底して現場に身を置きながら、独自なアプローチを実施している。「オートロック、セキュリティーカメラ、インターネット光ファイバー回線など、現代ではそのどの設備も落とすことは出来ません。それらが揃っているのはもはや当然で、競争力はその先に見つけるしかないのです」斎藤さんはこれまで旅行業に携わり、たくさんのアイデアで
人気商品を開発してきた。「空き室になっている物件には必ず原因があるものです。それを単に数字で把握するのではなく現場に身を置いて体で感じること。そこからしか具体的なアイデアは浮かんできません」マンション駐車場には洗車スペースがあり、清潔感を保つため手入れが行き届いている。
ゲストルームで発想の転換
「入居者は常に出入りを繰り返します。ですので全室が埋まるということはありません。客観的に眺めてみれば、常に一室は空いているものです。そうであるなら持っている物件の一室は、入居者の為に無料で使うという発想の転換を思い立ちました。学生さんのように独身の若い入
居者であれば、経費を負担しているのはご両親です。そのご両親が子どもを訪ねに来た時に、ゆっくり別室で寝泊まり出来る部屋として、その一室を開放しました。入居していた人は退去時に、大家に処分を依頼して色々な家具を置いていくものです。それらをその一室に置くことで、手ぶらで訪れても不自由なく数日が過ごせる部屋となりました。これがとても好評で、訪れた人の気持ちを動かしています」。斎藤氏はまた、入居時に引っ越しを手伝った親族、友人たちの為に、そのゲストルームで宇都宮名物の餃子を振る舞うようにしている。手伝った人は大いに好感を持つことだろう。
アイデアは人任せには出来ない
「アイデアというものは徹底的に追い詰められないと出てこないものです。ゆとりを持って思いつくようなものは誰でも思いつくわけで、競争力にはなりません。独自な魅力を生み出すようなものは、管理会社任せでは駄目で、自分で充分考え尽くさなければならないでしょう」
物件管理を委託する管理会社は、そんなオーナーの視点に応えるような指導をする必要があるということで、いかにオーナーの立場に立った見方が出来るかが問われているという。
「流行り廃りなど情報はいつも揺れ動きます。自分なりの信念を持ってぶれないこと。その姿勢を持っていれば入居者のためにどんなサービスが求められているかは、自ずと見えてくるでしょう。」 |
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入居者に好評の、テレビ、ベッド、こたつ、冷蔵庫など、日常家具の揃った「ゲストルーム」。入居者の親や親類が訪ねてきたような時に、無料で利用することが出来る。又、大きな荷物を運ぶ時などに利用する軽トラックも入居者に無料で貸し出されている。駐車場には洗車スペースも確保されている。 |
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